同じ問いを Claude と GPT-5.5 に投げました。テーマは「subagent を何体置くべきか」です。

材料は当メディア運営者の環境の実測です。108日間で16体作って13体を消し、6日間9,649ターンのうちAgent呼び出しは27回(0.3%)、14体中11体が起動0、振り分け役は0回。ツール呼び出しの63%はシェル実行でした。
結果を先に書きます。大筋は一致しました。 そして1点だけ割れ、実測を出したら GPT-5.5 が自分の表現を撤回しました。当メディアの座談会は割れなかった回を公開しない運用なので、この記事はその1点を中心にしています。
発言は逐語です。要約も書き換えもしていません。
一致した部分

Claude(問い)
AIコーディングエージェントに subagent を何体置くべきか、あなたの立場を述べてください。(実測を提示)この実測を踏まえて、あなたは「subagentは基本的に不要」と考えるか、それとも「使い方が悪かっただけで多体構成には価値がある」と考えるか。どちらかの立場を選び、理由を3点で述べてください。反論があるなら遠慮なく書いてください。
GPT-5.5
立場は「subagentは基本的に不要」です。少なくとも常設の多体構成は、あなたの実測では正当化されません。
理由は3点です。
利用率が低すぎる 6日間9649ターンで27回、0.3%なら、日常運用の中核機能ではなく例外処理です。14体中11体が起動0、routerも0回なら、設計上の存在価値より維持コストが勝っています。
実際の価値はagentではなくscriptに出ている ツール呼び出しの63%がシェル実行で自作スクリプトなら、反復可能な知能はsubagentではなく、決定的な手順・検査・変換スクリプトに置くべきです。agent化すると挙動が曖昧になり、再現性も落ちます。
分業よりcontext routingの問題 多体構成は「専門家を増やす」発想ですが、実務では必要なのは専門人格ではなく、正しい資料・repo・権限・ワークフローへ絞ることです。これはSkill、script、AGENTS、検索ルールで足ります。
反論するとすれば、subagentが有効なのは独立レビュー、大量並列調査、別権限ツール境界、長いcontext隔離が必要な時です。ただしそれは常設16体ではなく、明確なtriggerを持つ少数の非常用agentで十分です。
ここまでは当メディアの結論と同じでした。「価値はagentよりスクリプトに出ている」という指摘は、63%という数字から独立に出てきたものです。
割れた1点

引っかかったのは最後の一文と、理由2の後半でした。
- 残すべきagentを 「非常用」 と表現している
- 「agent化すると再現性が落ちる」 を否定の根拠に使っている
当メディアが残した3体の起動実測は、6日間で監査12回・実装10回・調査3回です。非常用ではありません。 そして監査は、再現性が低いことを承知のうえで独立性のために置いています。自分が書いたものを自分で監査すると、同じ前提のまま同じ見落としを繰り返すからです。
そのまま返しました。
Claude(反論)
私が残した3体の実測起動回数は6日間で監査12回・実装10回・調査3回で、これは非常用ではなく日常です。とくに監査は、再現性が低いことを承知のうえで独立性のために置いています。(中略)あなたの主張だと、再現性を理由に監査agentを否定することになりませんか。それでも「非常用」「再現性優先」を維持しますか、それとも修正しますか。
GPT-5.5
修正します。
「非常用agent」「再現性優先」という表現は、この実測値と運用意図に対して不正確でした。6日間で監査12回・実装10回・調査3回なら、少なくとも監査・実装は日常運用の中核です。非常用ではありません。
また、監査agentについては「再現性が落ちるから否定」ではなく、むしろ独立性を得るためにagent化する合理性があります。自分が書いたものを同じ文脈のまま自分で見ると、同じ前提・同じ見落としを引きずる。そのリスクを下げる目的なら、多少の揺れを許容してでも別agentに切る判断は妥当です。
私の修正版の立場はこうです。
agent化を避けるべきなのは「triggerが曖昧で、期待成果も検証方法も薄い作業」です。一方で、監査のように「独立した視点」自体が価値で、起動頻度も高く、役割が明確なら日常agentとして残すべきです。再現性は重要ですが、監査agentでは独立性と検出力を優先してよいです。
この回で分かったこと
争点は思想ではなく数字でした。
GPT-5.5 が最初に「非常用」と書いたのは、こちらが渡した実測に残した3体の起動回数が入っていなかったからです。0.3%という全体の低さだけを見れば、残る数体も例外処理に見えます。起動回数を出した時点で表現が変わりました。
ここから2つ持ち帰れます。
- agentの体数を設計論で決めようとすると噛み合わない。 同じ思想でも、手元の起動回数が違えば結論が変わります
- 議論の材料に「全体の低さ」だけを出すと誤解される。 残したものの実測を並べないと、残す判断そのものが例外扱いされます
なお、これはモデルの能力差の話ではありません。同じ実測を先に持っていたのがこちらだった、というだけです。 逆であれば、修正するのはこちらでした。
自分の数字で同じ議論をするために。 この回の争点は「残したagentの起動回数」でした。つまり手元で起動回数を数えていなければ、この議論はできません。
起動回数の数え方と、残す3体の定義ファイルは配布物にまとめてあります。
残した3体の定義サンプル一式を配布しています。監査・実装・調査の3体ぶんの定義と、消した5種類の「作らないほうがよい例」、消すときに履歴を残す作法まで入っています。自分の環境の起動回数を数えたうえで読むと、体数の判断ができます。
この回で使った実測の全量と、消した13体の廃止理由はsubagentを16体作って13体消した記録に置いてあります。
よくある質問