先に結論です。MCPは「必要になってから1つずつ」で足ります。 この30日間では、繋いだものの多くが継続利用に残りませんでした。

正方形のマス目が横6列縦5行に並び、そのうち8マスだけがオレンジで塗られ、残り22マスは薄い輪郭線だけの空のマスになっている図

このメディアを運用している環境で、MCPを接続したまま30日間動かし、セッションログを全部数えました。2026年8月5日から9月3日までの65セッション、ツール呼び出し8,126回です。

そのうちMCP経由は176回、全体の2.2%でした。呼ばれたのは7サーバー・29ツールで、うち8ツールは30日間で1回きりです。

そして一番効いた数字がこれでした。実際に作業した25日のうち、最も使ったFigmaでも8日。毎日使ったサーバーは1つもありません。

「おすすめMCP◯選」を読んで全部繋いだあと、何を残すかで迷っている人に向けて書いています。

MCP とは何か

左側では2つのネイビーの長方形の間を小さな箱が点線の矢印で往復し、右側では同じ2つの長方形が1本の太いオレンジの帯で直接つながっている対比図

AIツールから外部サービスを操作するための、共通の接続規格です。Anthropic が公開しているもので、Claude Code に限った仕組みではありません。

繋ぐと何が変わるかは、この一点です。

MCPなし MCPあり
外部サービスの中身 自分でコピーして貼る そのまま読みにいく
デザインカンプ 画像を書き出して渡す ファイルを直接参照する
対象 手元のファイルとコマンド 繋いだサービス全部

実務で最初に効くのは、貼り付け作業が減ることです。さらに接続先によっては、読み取りだけでなく操作やワークフローの自動化までできます。

ただし実測で効いていたのは前者でした。 逆に言えば、貼り付ける手間が発生していない相手を繋いでも体感は変わりません。ここが後で効いてきます。

繋ぎ方

同じ大きさの立体ブロックが3つ横一列に並び矢印でつながり、3つ目だけオレンジで示された図

接続はコマンド1行です。追加したい対象ごとに実行します。

claude mcp add <名前> -- <起動コマンド>

繋がっているかは claude mcp list で確認できます。プロジェクト単位で共有したい場合は、リポジトリに設定ファイルを置く方法もあります(公式ドキュメント)。

認証が必要なサービスは、繋いだあとに認可の操作が別途必要です。ここを飛ばすと、ツールは一覧に出るのに呼ぶと失敗します。当メディアでも、繋いだまま認証を通していないものが残っていました。

繋ぐこと自体は難しくありません。難しいのは、繋いだあとに何を残すかです。

権限と安全 — おすすめ一覧より先に見る4点

左から伸びる太いオレンジの帯が、等間隔に並ぶネイビーの細い壁を4枚通過するたびに細くなっていく図

数を増やす前に、接続そのもののリスクを1回だけ確認してください。MCPサーバーはあなたの権限で動きます。

確認すること なぜ
誰が作ったサーバーか 公式・提供元本人のものか、第三者の実装か。接続した時点で、そのコードにあなたの権限を渡します
どこまでの権限を渡すか 読み取りだけで足りるなら、書き込み権限を与えない。認可の画面でスコープを確認する
外部の文章を読ませるか Web ページや他人の作った文書を読むサーバーは、その中に書かれた指示をAIが命令として拾う危険があります(プロンプトインジェクション)
外し方を知っているか 1行で外せます。試す前に外し方を確認しておくと、判断が軽くなります

3行目が実務では一番効きます。外部から取ってきた文章は「データ」であって「指示」ではないという区別は、繋いだ側が意識しないと守られません。信頼できない場所の内容を読ませるサーバーは、書き込み権限を持つ接続と同時に使わないのが安全です。

公式ドキュメントも、接続前にそのサーバーを信頼できるか確認するよう促しています。「おすすめ◯選」を上から順に入れる前に、この4行だけ通してください。

コマンドと設定ファイル

3つの長方形が同心状に入れ子になり、一番外側が輪郭線だけ、内側が薄い塗り、一番内側の最も小さいものだけオレンジで塗られた図

繋ぐだけなら1行ですが、チームで使うなら置き場所を決めるほうが先です。以下は 2026-09-04 に手元の Claude Code で --help を叩いて確認したものです。

コマンド一覧

コマンド 何をするか
claude mcp add <名前> -- <起動コマンド> 追加する(ローカル実行型)
claude mcp add -t http <名前> <URL> HTTP 接続型で追加する
claude mcp add-json <名前> '<JSON>' 設定を JSON で丸ごと渡す
claude mcp list 一覧を出す
claude mcp get <名前> 1つの詳細と接続状態を見る
claude mcp remove <名前> 外す
/mcp(対話中) 接続状態をその場で確認する

remove を先に覚えてください。 外すのが1行だと分かっていると、試す判断が軽くなります。

環境変数が必要なサーバーは -e で渡します。

claude mcp add my-server -e API_KEY=xxx -- npx my-mcp-server

置き場所(scope)は3つ

-s / --scope で決めます。ここを意識しないと、自分だけの接続がチーム全員に効いたり、逆に共有したいものが共有されなかったりします。

scope 効く範囲 使いどころ
local(既定) その端末のその場所だけ 試すとき
user その端末の全プロジェクト 自分専用の常用ツール
project リポジトリを共有する全員 チームで揃えたいもの

project を指定するとリポジトリ内の .mcp.json に書かれ、他のメンバーが同じリポジトリを開いたときに共有されます。

重要なのは、共有された接続がいきなり動くわけではないことです。 各メンバー側で承認するまで「承認待ち」の状態で保留され、接続されません(claude mcp get で確認できます)。リポジトリに他人の接続設定が混ざっても、勝手に繋がることはないという設計です。

承認の判断をやり直したいときは claude mcp reset-project-choices で戻せます。

認証が必要なサーバー

繋いだだけでは動きません。認可の操作が別途必要です。ここを飛ばすと、ツールは一覧に出るのに呼ぶと失敗します。当メディアでも、繋いだまま認証を通していないものが残っていました。

実測:30日間でどれだけ呼ばれたか

画面のほぼ全面を占める巨大なネイビーの長方形の右下隅に、ごく小さなオレンジの正方形が1つだけ乗り、その横に2.2パーセントと書かれた図

ここが本題です。

指標 値
総ツール呼び出し(30日間・65セッション) 8,126
うち MCP 経由 176(2.2%)
呼ばれたサーバー 7種
呼ばれたツール 29種
30日間で1回しか呼ばれなかったツール 8種

2.2%です。 この環境では、接続数の多さは使用率の高さに結びついていませんでした。

注意してほしいのは、これは接続数を増やす前と後を比べた実験ではないことです。言えるのは「繋いであるもののうち、実際に呼ばれた割合が低かった」までです。ただし後で見るとおり、呼ばれなかったものには共通点がありました。

サーバー別(回数と、使った日数)

横棒グラフが5本並び、一番上のオレンジの棒が最も長く右に8と書かれ、下の4本のネイビーの棒はそれぞれ2・2・1・1と書かれた短い棒になっている図

回数だけ見ると偏りが分かります。ただしもっと効くのは右端の「使った日数」です。

サーバー 回数 MCP内の占有 使った日数
Figma 90 51% 8日
ブラウザ操作 25 14% 1日
Notion(自前接続) 16 9% 3日
Ahrefs 15 9% 1日
Gmail 14 8% 2日
Notion(公式コネクタ) 14 8% 2日
Google Drive 2 1% 2日

期間30日のうち、実際に作業したのは25日でした。そのうえで読むとこうなります。

  • 最頻の Figma でも8日。 作業日の3分の1にも届きません
  • 他は1〜3日。 ブラウザ操作と Ahrefs は1日に固まって呼ばれ、あとは一度も使われていません
  • 毎日使ったサーバーは1つもありませんでした

1日に固まる、というのが重要です。ブラウザ操作の25回もAhrefsの15回も、特定の1日の作業でまとめて使われ、それ以外の24日はゼロでした。回数だけ見ると「そこそこ使っている」に見えますが、実態は単発の作業に張り付いた道具です。

中身はさらに1つに寄っている

Figma の90回を割ると、こうなります。

ツール 回数
画面を取得する 51
編集を依頼する 14
構造を取得する 13
画像を書き出す 7
その他 5

画面を取得する1ツールで、Figma全体の57%(MCP全体の29%)です。

やっていたのは「デザインカンプを見る」だけでした。Figma MCP に多数のツールがあっても、実務で回っていたのは実質1つです。

これは他のサーバーでも同じで、呼ばれた29ツールのうち8ツールは30日間で1回きりでした。試して、それきりです。

実測から出た、入れるかどうかの判断

1本の太い線が中央のオレンジの印で3方向に分かれ、行き先の矩形が上から順に小さい・中くらい・大きいと変わっていく図

上の数字から言えるのは1つだけです。

そのサービスを、作業の途中で必ず見にいくか。

「見にいく」であって「操作する」ではありません。実測で残ったものは全部、作業の途中で参照する場所でした。

判断 具体例(当メディアの場合) 実測
入れる価値があった デザインカンプ(作業のたびに見る) 8日・90回
入れたが単発だった 検索データ、ブラウザ操作(調べる日にだけ使う) 1日・15〜25回
入れなくてもよかった ファイル置き場(コマンドで足りる) 2日・2回

3行目が示しているのが、繋いでも使われないものの正体です。 ファイル置き場は、シェルからでも触れます。別の手段が既にあるものを繋いでも、そちらが使われ続けます。

これは同じ環境で出た別の実測とも一致します。専用の検索機能は全操作の1.8%しか使われず、探す作業はシェルの素のコマンドに流れていました(Claude Code の使い方)。名前の付いた機能より、既にある手段のほうが強いという同じ現象です。

単発でも入れる価値はある

誤解しないでほしいのは、1日しか使わなかったものが無駄だったわけではないことです。

検索データの15回は、その1日にキーワードの需要を調べきるために使いました。手作業なら数時間かかります。単発でも、その日の作業が成立するなら十分に元は取れます。

問題なのは繋いだまま忘れることです。ツールの一覧が長くなるほど、どれを使うかの判断が増えます。

外すかどうかの目安

状況 どうするか
直近1ヶ月で1度も呼ばれていない 外す。 必要になったら1行で戻せる
特定の日にだけ固まって使う 残す。 ただし何のための接続かをメモしておく
ほぼ毎日呼ばれる 残す。 手順をスクリプト側に寄せられないかも検討する

「1行で戻せる」が効きます。外す判断のコストが低いので、迷ったら外して問題ありません。

自分の環境の数字を数えるスクリプトを配布しています。MCP経由の呼び出し比率、サーバー別・ツール別の回数まで、この記事と同じ表があなたのログで出せます。期間を指定できるので、先月と今月で比べて「使わなくなった接続」を見つけられます。ログは読み取りのみ、外部送信なし、標準ライブラリだけで動きます。

集計スクリプトをダウンロード

メリットとデメリット(実測つき)

上段にネイビーの小さな正方形が10個横に並び、下段にはオレンジの正方形が左端3つの真下に3個だけ並んだ上下対比図

紹介記事が並べる項目に、使用実績を付けます。

メリット

よく言われること 当メディアの実測
貼り付け作業がなくなる 90回。 デザインカンプの参照で最も効いた
外部データを会話に持ち込める 検索データ15回・メール14回。単発だが濃い
導入が1行で済む 事実。外すのも1行
ツールが増えて対応範囲が広がる 29ツールのうち8つは1回きり。 増えても使われない

4行目が実測の結論です。 対応範囲は広がりますが、使用回数には反映されませんでした。

デメリット

よく言われること 当メディアの実測
一覧が長くなって判断が増える 呼ばれたのは29ツール。一覧はそれより遥かに長い
認証・接続の管理が増える 繋いだまま認証を通していないものが残っていた
外部の文章が指示として読まれる危険 設計上の最大の注意点(前述の4点)
使わなくなっても気づかない 1日しか使っていない接続が3つ残っていた

4行目が一番静かに効きます。 動かないわけではないので、放置しても誰も気づきません。だから月に1回数えるのが要ります。

他のツールでも使えるのか(Codex との違い)

MCP は Anthropic が公開した共通規格なので、Claude Code 専用ではありません。対応しているツールなら、同じサーバーを繋げます。

当メディアは Claude Code と Codex を並走させていますが、MCP の使い方は揃えていません。 理由は実測です。

MCP の使い方
Claude Code デザインカンプの参照が中心(90回)
Codex ファイル操作・シェル経由の処理では MCP を使わない(Windows で機能しない実測がある)

規格が共通でも、環境によって動く範囲が違います。 当メディアの Windows 環境では、Codex 側の MCP 経由でファイルやシェルに触る処理が機能しませんでした(コマンドが失敗し、画像生成は保存したと返すのに実ファイルが出ない)。「規格が同じだから同じように動く」とは考えないほうがよいです。

両者の使い分けの全体像はClaude Code と Codex、どっちを使う?にあります。

まとめ

  • MCP経由は全操作の2.2%(176回 / 8,126回)。この環境では、接続数の多さは使用率に結びついていなかった
  • 呼ばれたのは7サーバー・29ツール。うち8ツールは30日間で1回きり
  • 作業した25日のうち、最頻のFigmaで8日。毎日使ったサーバーは0
  • 判断は1つ。その場所を、作業の途中で必ず見にいくか

繋ぐ数そのものは成果になりません。 少なくともこの30日間では、既に別の手段がある相手は呼ばれないままでした。

ただし、これは1人の環境の30日間です。用途はメディア運営とWeb制作なので、たとえばデータベースを常時参照する開発なら比率は変わります。だからこそ自分のログで数えてください。

数字は次のコマンドで固定しています。期間を閉じないと当日ぶんが増え続け、実行するたびに答えが変わります。

python count_tool_calls.py --since 2026-08-05 --until 2026-09-03

繋ぐ相手の選定や、MCPに任せる範囲とスクリプトに寄せる範囲の線引きに迷う場合は、当メディアの運用設計をそのまま持ち込めます。

VERIFIED
動作確認日: 2026.09.04 / 環境: Claude Code / Windows 11 Home 26200。集計対象は同一端末のセッションログ 65ファイル(2026-08-05〜09-03)。再現コマンドは python count_tool_calls.py --since 2026-08-05 --until 2026-09-03 / ステータス: passed

よくある質問

MCP とは何ですか。
AIツールから外部サービスを操作するための共通の接続規格です。Claude Code に接続すると、Figma のファイルを読む、Notion のページを取ってくる、といった操作がそのまま会話の中でできるようになります。
MCP はいくつ入れるとよいですか。
1つずつ、必要になってから入れてください。当メディアの実測では、実際に呼ばれたのは7サーバー・29ツールで、そのうち8ツールは30日間で1回きりでした。この環境では、接続数の多さは使用率の高さに結びついていません。
どの MCP が一番使われましたか。
Figma で、MCP経由の呼び出しの51%を占めました。ただし内訳の大半は画面を取得する1ツールです。使われるMCPは「作業の途中で必ず見にいく場所」があるものに偏ります。
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