結論:施策を足す前に、測り方を直すほうが先

LLMO対策として挙げられる施策は、どの記事でもほぼ同じです。構造化データ、FAQ形式、一次情報、E-E-A-T、被リンク、llms.txt。2026年9月22日に「llmo対策」の検索上位8本を全件取得して数えたところ、具体的な対策手順は8本すべてが持っていました。施策リストはもう足りています。

足りていないのは、やったあとに何を見れば効いたと言えるのかのほうです。同じ8本のうち、効果測定に触れていたのは6本。そのうち再現できる粒度の手順まで示していたのは4本で、自社サイトの実測セッション数やCV数を生の数字で出していたのは1本でした。

横棒が7本縦に並び、上4本のネイビーの棒は長く、下3本のうち2本はオレンジで短く、いちばん下は棒が無い横棒グラフ

そしてもう1つ、計測そのものに落とし穴があります。GA4の既定チャネル「AI アシスタント」は、GoogleのAI OverviewsとAIモードを含みません。 これはアナリティクス ヘルプに明記されています。

AI アシスタントは、ChatGPT、Gemini、Deepseek、Copilot、Grok などのソースからユーザーがサイトにアクセスする際のチャネルです。Google の AI による概要と AI モードは除外されます。

つまり、参照元に chatgpt.com や perplexity.ai を並べてAI経由を数える設定は、AI Overviews経由の流入を1件も拾いません。この設定だけを見て「AI検索からの流入はほぼゼロ」と判断すると、判断の材料が最初から欠けています。

本稿では、運営している2つのサイトのGA4を49日ぶん出したうえで、この落とし穴を含めた測り方を扱います。施策の解説は後半に置きます。

この記事で決められること:LLMO対策に着手するかどうかと、着手するなら施策を足す前に自社のAI経由流入をどう測るか。費用相場と支援会社の選び方はLLMO対策会社の選び方と費用で扱っています(10社の公式ページを実取得して集計)。

LLMO対策とは(AIO・GEOとの関係)

LLMO(Large Language Model Optimization)は、生成AIが回答を作るときに、自社の情報が引用されたり、自社名が候補として挙がったりする状態を目指す取り組みです。

同じことを指す言葉が複数あります。

表記 元の言葉 指しているもの
LLMO Large Language Model Optimization 大規模言語モデルの回答での最適化
AIO AI Optimization AI検索全般での最適化
GEO Generative Engine Optimization 生成エンジンでの最適化
AEO Answer Engine Optimization 回答エンジンでの最適化

呼び名が違うだけで、やることはほぼ同じです。 社内で用語を統一する以上の意味はありません。なお、Googleはこれらの言葉について公式ガイドで次のように書いています。

「AEO」は「回答エンジン最適化」、「GEO」は「生成エンジン最適化」の略です。どちらも、AI 検索エクスペリエンスでの視認性の向上に特化した作業を説明するために使用されることがある用語です。Google 検索の観点から見ると、生成 AI 検索向けに最適化することは検索エクスペリエンス向けに最適化することであり、SEO の範疇にあります。

もう1つ、押さえておくと後の判断が速くなる区別があります。「言及される」と「引用される」は別のことです。

白いカードが左右に2枚並び、左はネイビー、右はオレンジで縁取られた対比図

  • 言及:AIの回答文の中に自社名・サービス名が出てくる。リンクは付かないこともある
  • 引用:AIの回答に出典としてリンクが付き、そこから人が来る

流入が発生するのは引用のほうだけです。 言及だけが増えてもGA4には何も表れません。逆に、社名での指名検索が増える形で効くこともあります。測る指標を決めるときは、このどちらを狙っているのかを先に決めてください。

なぜいま注目されているのか

一般論ではなく、当メディアが運営するサイトで実際に起きていることを出します。検索経由が減っている一方で、AI経由が増えています。

当メディアを運営している株式会社PENGINのコーポレートサイト(pengi-n.co.jp)のGA4を月別に出しました。2026年9月は1日から21日までの21日分で、他の月は暦月です。

月 全セッション 検索 AI経由 AI経由の割合
2026年6月 14,348 9,599 35 0.24%
2026年7月 13,058 8,786 94 0.72%
2026年8月 11,694 6,448 88 0.75%
2026年9月(1〜21日) 8,564 4,554 87 1.02%

左にネイビーの縦棒4本が右へ下がりながら並び、右にオレンジの縦棒4本が右へ高くなっていく、左右2枚組の棒グラフ

検索は6月の9,599から9月の21日間で4,554まで落ちている一方、AI経由は35から87へ増えています。 9月は21日分なので、同じペースが続いた場合の暦月換算は約124セッションになります(87÷21×30=124.3。当メディアの単純按分で、実測値ではありません)。

ただし、絶対数ではAI経由はまだ全体の1%前後です。この1%に手をかける価値があるかどうかは、次の節の数字で判断してください。

なお、ここで言う「AI経由」はChatGPT・Gemini・Copilotなどのアシスタントからの流入で、GoogleのAI Overviews経由は含まれていません(検索の列に入っています)。理由は後述します。

生成AIが引用先を決める流れ

仕組みを一行で言うと、AIは自分が知っていることだけで答えるわけではなく、回答を作るときにWebを検索して、取ってきた文章を根拠に回答を組み立てています。この検索と取得の部分をRAG(検索拡張生成)と呼びます。

だから引用されるかどうかは、大きく3段階で決まります。

  1. AIのクローラがページを取得できるか(robots.txtで止めていないか、JavaScriptなしで本文が読めるか)
  2. 質問に対する答えとして、そのページが検索で拾われるか(=既存の検索での評価がそのまま効く)
  3. 取ってきた文章の中から、そのページの記述が引用として選ばれるか(結論が明示されているか、質問と対応した形で書かれているか)

1と2は既存のSEOと同じ作業です。 新しく増えるのは3の書き方の部分だけ、というのが実務上の見立てになります。

SEOとの違い

違いを表にします。ただし違うのは目的と測り方で、やることの大半は重なります。

角丸の大きな枠が2つ左右に重なって並び、左はネイビー系の淡い面、右はオレンジで縁取られた面になっているベン図

SEO LLMO
最適化する相手 検索エンジンのランキング 生成AIの回答生成
ゴールの形 検索結果に自社ページが並ぶ 回答の中で引用・言及される
流入の起き方 検索結果からのクリック 回答内の出典リンクからのクリック、または指名検索
主な指標 表示回数・クリック数・掲載順位 AI経由のセッション、引用の有無、指名検索の増減
計測の難しさ Search Consoleでほぼ完結 複数の経路を合算する必要がある
施策の重なり — クロール可否・情報の質・構造化・被リンクはほぼ共通

Google自身は、AI機能向けに特別な対策は不要だと公式に書いています。

SEO のベスト プラクティスは、引き続き Google 検索の AI 機能(AI による概要や AI モードなど)でも有効です。AI による概要や AI モードにコンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もありません。

ただしこれはGoogleの話です。 ChatGPTやPerplexityは自社のクローラを持ち、robots.txtでの制御方法も別に公開しています。Googleの言う「追加の要件はない」をそのまま全AIに当てはめることはできません。

実測:AI経由は全体の0.85%だが、相談のクリックは検索より高い割合で起きていた

ここからが当メディアの一次データです。PENGIN本体のGA4から、2026年8月4日〜9月21日の49日間をチャネル別に出しました。

列の意味は、左から順にセッション数、そのうちエンゲージしたセッション数とその率、相談フォームのクリックが起きたセッション数とその率です。

チャネル セッション エンゲージ 同率 相談クリック 同率
AI アシスタント 169 93 55.0% 6 3.55%
Referral 275 120 43.6% 9 3.27%
Organic Search 10,649 5,194 48.8% 39 0.37%
Direct 7,481 850 11.4% 25 0.33%
Organic Social 129 80 62.0% 0 0.00%
Paid Social 1,025 233 22.7% 0 0.00%

横棒が6本縦に並び、上2本だけオレンジ色で長く伸び、下4本のネイビーの棒は根元近くで止まっているか棒が無い横棒グラフ

読み取れることは2つです。

1つ目。量としては小さい。 AI経由は169セッションで、全19,907セッションの0.85%でした。検索の10,649と比べれば63分の1です。

2つ目。そのわりに、来た人が相談フォームを押す割合は高い。 AI経由は169セッション中6セッションで相談フォームのクリックが起きており、3.55%。検索経由の0.37%と比べると9.7倍にあたります。

ただしこの9.7倍は分子が6件の話です。 1件増減するだけで比率は0.6ポイント動きます。「AI経由は成約しやすい」と断定できる規模ではありません。言えるのは、量が小さいからといって無視してよいとは限らないという程度です。

どのイベントを数えたかも書いておきます。 上の表は相談フォームのクリック(click_contactForm)1種類だけです。当メディアの本体には他にも接触系のイベントがあり、同じ期間に発生したセッション数で、AI経由は cv_contact 3・cv_contact_recruit 1・click_documentForm 1、検索経由は cv_contact_sales 30・cv_contact 16・cv_contact_recruit 4・click_documentForm 3 でした。

これらを足し合わせて率にすることはしていません。 1つのセッションで複数のイベントが起きた場合に重複して数えてしまい、実際より高い率が出るためです(GA4のイベント別セッション数からは、重複を除いた合計が取れません)。指標は1つに決めて、前後の期間を同じ指標で比べてください。 途中で対象イベントを足すと、増えたのが行動なのか定義なのかが分からなくなります。

月別に見ると、相談フォームのクリックは7月に2セッション、8月に3セッション、9月(21日まで)に3セッションで、まだ月数件の世界です。

どこから来て、どこに着地しているか

参照元の内訳です(同じ49日間)。

参照元 セッション エンゲージセッション
chatgpt.com 160 87
gemini.google.com 7 4
claude.ai 2 2

AI経由の94.7%がChatGPTでした。 他は誤差の範囲です。複数のAIを均等に想定して施策を組むより、まずChatGPTで自社がどう出るかを見たほうが現実に近い、というのが当メディアの現在地です。

着地ページの上位はこうなっています(chatgpt.com経由)。

着地ページ セッション
トップページ 31
コラム記事1本(GitHub Desktopの解説) 30
取得できず(not set) 18
採用情報 9
BtoBコーポレートサイト(サービス紹介) 5
コーポレートサイト制作(サービス紹介) 5
BtoBサイト制作(サービス紹介) 4
LLMO支援(サービス紹介) 4
BtoBマーケティング伴走支援(サービス紹介) 4
テンプレート型Webサイト制作(サービス紹介) 4

サービス紹介のページが6本並んでいて、合計26セッションです。トップページの31と合わせると57で、コラム記事1本の30を大きく上回ります。

検索経由の着地はこうなりません。同じ期間の検索経由はコラム記事に大きく偏っていて、最上位のコラム1本だけで622セッションあり、サービス紹介ページは上位に出てきません。

つまりAI経由で来る人は、記事を読みに来ているというより「この会社は何をやっているのか」を見に来ています。 断定はできませんが、AI経由の流入を記事単位のSEOと同じ枠で評価すると読み違える可能性があります。社名・サービス名で説明されているページが自社にあるかは、記事の本数とは別に確認する価値があります。

GA4の「AI アシスタント」はAI Overviewsを含まない

本稿の中心はここです。

左に流入元の箱が7つ縦に並び、右に大きな箱が2つあり、下の2本だけオレンジの太い線で右下の箱へつながっている振り分け図

GA4には2026年時点で「AI アシスタント」という既定のチャネルグループがあります。その定義をアナリティクス ヘルプはこう書いています。

AI アシスタント — AI アシスタントは、ChatGPT、Gemini、Deepseek、Copilot、Grok などのソースからユーザーがサイトにアクセスする際のチャネルです。Google の AI による概要と AI モードは除外されます。

そして同じページで、オーガニック検索の定義はこうなっています。

オーガニック検索 — ユーザーがオーガニック検索結果で広告以外のリンクを介してサイト / アプリにアクセスする際のチャネルです。Google の AI による概要と AI モードも含まれます。

つまりAI Overviews経由の流入は、AI アシスタントではなくオーガニック検索に計上されます。 参照元に chatgpt.com perplexity.ai gemini.google.com を並べる方法でAI経由を数えている場合、AI Overviews経由は1件も入っていません。設定の不備ではなく、GA4の定義がそうなっています。

2026年9月22日に上位8本の本文を全件取得して検索したところ、この除外について書いていた記事は0本でした。 GA4での計測手順を載せている記事はあります。ただし、その手順が何を測っていないかまでは書かれていません。

当メディアはAI Overviewsの表示頻度を測っていないので、埋もれている量が何件かは言えません。 言えるのは、GA4のAI アシスタントだけを見ている限りその量がゼロとして扱われるということです。量を知りたい場合は、次に書くSearch Console側を見ることになります。

もう1つ、GA4側で確認できなかったことも書いておきます。GA4が「AI アシスタント」と判定する参照元の完全な一覧は、公式に公開されていません。 ヘルプに出てくるのはChatGPT・Gemini・Deepseek・Copilot・Grokの5件ですが、英語版は "sources like"、日本語版は「などのソース」と書かれており、網羅リストではありません。Google広告とアナリティクスのソースカテゴリ一覧(12万字超)も確認しましたが、該当する分類名は見つかりませんでした。自社の参照元に何が入っているかは、参照元ディメンションで実際に見るしかありません。

同じ落とし穴が、自社のデータにも出ていた

書いていて自分のデータで見つけたので出します。同じ49日間の参照元を全部並べると、OpenAI由来なのにAI アシスタントに入っていないセッションがありました。

参照元 / メディア セッション エンゲージ メディアが示すもの
chatgpt.com / ai-assistant 160 87 AI アシスタントとして計上
openai / organic 14 8 オーガニック検索として計上
openai / (not set) 5 1 メディアが取れていない
chatgpt.com / organic 3 3 オーガニック検索として計上

AI アシスタントとして数えられた160に対して、検索へ入ったものが17、メディアが取れていないものが5あります。 合計182のうち22件(12.1%)がAI アシスタントの外です。AI Overviewsの話以前に、参照元とメディアの書かれ方だけでもこれだけ散ります。

AIディア側にも同じことが起きていました。 同じ期間の参照元とチャネルを並べるとこうです。

参照元 / メディア セッション GA4のチャネル
chatgpt.com / ai-assistant 7 AI アシスタント
copilot.com / ai-assistant 4 AI アシスタント
gemini.google.com / ai-assistant 3 AI アシスタント
perplexity / (not set) 4 未分類(Unassigned)

Perplexity経由の4セッションは、AI アシスタントに入っていません。 メディアが ai-assistant で記録されておらず、未分類へ落ちています。前の節で書いたとおり、GA4のヘルプがAI アシスタントの例として挙げているのはChatGPT・Gemini・Deepseek・Copilot・Grokの5件で、Perplexityはそこに入っていません。

AIディアのAI アシスタントは14セッションですが、AI系の参照元を目で拾うと18あります。チャネルだけを見ると、この4件は最初から存在しないことになります。

次の節で出す測り方の4ステップを、チャネルを見て終わりにせず、参照元まで分解する順番にしてあるのはこのためです。

ではAI Overviews経由はどこで測るのか

Search Consoleです。公式ヘルプに次の記載があります。

Just like the rest of the search results page, sites appearing in AI features (such as AI Overviews and AI Mode) are included in the overall search traffic in Search Console. In particular, they're reported on in the Performance report, within the "Web" search type. (他の検索結果ページと同様に、AI機能に表示されるサイトもSearch Consoleの全検索トラフィックに含まれる。検索タイプ「ウェブ」のパフォーマンスレポートに計上される。訳は当メディア)

さらに2026年に、生成AI専用のレポートが追加されています。

Note: As of August 31, 2026, we’ve rolled out these insights to all websites worldwide. (2026年8月31日時点で、この分析を全世界のすべてのサイトへ展開済み。訳は当メディア)

2026年9月22日に上位8本を実取得して確認した範囲では、このレポートに触れていた記事は0本でした。 AI Overviewsでの表示回数を知りたい場合、ここが現在の一次的な取得先になります。

なお、AI Overviews内のリンクの掲載順位については公式に次の記載があります。

Position: An AI Overview occupies a single position in search results, and all links in the AI Overview are assigned that same position. (AI Overviewは検索結果の中で1つの掲載順位を占め、その中の全リンクに同じ順位が割り当てられる。訳は当メディア)

平均掲載順位が動かないまま表示回数だけが動く場合、この計上方法が理由のことがあります。

効果を測る3つの経路

ここまでをまとめると、AI経由の露出は1か所では測れません。3つの経路を並べて見ます。

角丸の横長の箱が4つ縦に積まれ、下向きの矢印でつながれたフロー図。いちばん下の箱だけ白地にオレンジの太い枠で囲まれている

経路 測れるもの 測れないもの
GA4「AI アシスタント」 ChatGPT・Gemini・Copilotなどからの実際の流入とその後の行動 GoogleのAI Overviews・AIモード経由(検索に計上される)
Search Console AI Overviews・AIモードでの表示回数とクリック ChatGPTなどGoogle外での引用
サーバーログ AIクローラが実際に来ているか 来た結果、引用されたかどうか

3つ目を入れる理由は、流入が0だったときに「読まれていない」のか「読まれたが選ばれていない」のかを切り分けるためです。ログでクローラの到達が確認できているのに流入が0なら、直すのはrobots.txtではなく本文のほうになります。

robots.txtに書くトークンは各社の公式ドキュメントで確認できます(2026年9月22日時点)。

トークン 運営元 公式の説明
OAI-SearchBot OpenAI ChatGPTの検索機能で結果に出すためのクロール
GPTBot OpenAI 基盤モデルの学習に使う可能性があるコンテンツのクロール
ChatGPT-User OpenAI 利用者の質問に応じてページを見に行く
Google-Extended Google Geminiの学習とグラウンディングに使うかの制御
ClaudeBot / Claude-SearchBot / Claude-User Anthropic 学習用・検索インデックス用・利用者起点
PerplexityBot / Perplexity-User Perplexity 検索結果表示用・利用者起点
bingbot Microsoft BingとCopilotが共通で使う

ここで1つ注意があります。 利用者起点のもの(ChatGPT-User・Perplexity-User)は、robots.txtで止められない場合があると公式に書かれています。

ChatGPT-User is not used for crawling the web in an automatic fashion. Because these actions are initiated by a user, robots.txt rules may not apply. (ChatGPT-Userは自動的なWebクロールには使われない。これらの動作は利用者が起点のため、robots.txtのルールが適用されない場合がある。訳は当メディア)

Perplexityも同様に、利用者起点の取得については "Since a user requested the fetch, this fetcher generally ignores robots.txt rules."(利用者が取得を要求したものなので、このフェッチャーは概ねrobots.txtのルールを無視する。訳は当メディア)と公式に記載しています。「robots.txtで許可したから読まれるようになる」という単純な関係ではありません。

もう1つ、Microsoftには Copilot 専用のクローラが存在しません。公式のクローラ一覧にCopilot用のエントリはなく、ガイドラインには "Bing and Copilot search experiences rely on the same core crawling, indexing, and ranking foundation as traditional search."(BingとCopilotの検索体験は、従来の検索と同じクロール・インデックス・ランキングの基盤に依存している。訳は当メディア)と書かれています。Copilotでの出方を制御したい場合、robots.txtではなくmetaタグのnoarchive/nocacheが対象になります。

AI経由の流入を測る設定シートを配布しています。上の3経路について、GA4のどのレポートで何を見るか、robots.txtに書くトークンと公式の説明、判定に使う計算式を1枚にまとめたものです。自社の値を書き込む欄を付けてあります。出典URLは全て2026年9月22日に文字列を確認したものです。

AI経由の流入を測る設定シート(CSV・無料)をダウンロード

自社の数字に置き換える計算

比較の形はこうです。分母をセッション数にそろえてください。

AI経由の流入比率   = AI アシスタントのセッション数 ÷ 全セッション数
AI経由のCV発生率   = AI経由でCVイベントが起きたセッション数 ÷ AI経由のセッション数
検索経由のCV発生率 = 検索経由でCVイベントが起きたセッション数 ÷ 検索経由のセッション数

当メディアが運営するPENGIN本体の49日間の値を入れるとこうなります。

AI経由の流入比率   = 169 ÷ 19,907 = 0.85%
AI経由のCV発生率   = 6 ÷ 169     = 3.55%
検索経由のCV発生率 = 39 ÷ 10,649 = 0.37%

イベント数ではなくセッション数で割ってください。 同じ人が複数回クリックすると、イベント数で割った率は実態より高く出ます。実際、上の6セッションで発生したクリックのイベント数は10件です。

LLMO対策としてやること

ここまでで測り方が決まったら、施策に入ります。公式が必要と言っていることと、言っていないことを分けて書きます。

横長の帯が3段に積まれ、上からネイビー、中間の青、淡いグレーと色が薄くなっていく階層図

1. AIクローラが本文を読める状態にする

最初にここを確認します。robots.txtでAIクローラを止めていないか、本文がJavaScriptなしで読めるか。止めているつもりがなくても、WAFやCDNの設定で弾いていることがあります。 サーバーログでUA別のヒット数を数えると、来ているかどうかが分かります。

書き方は通常のrobots.txtと同じで、対象のトークン名を指定するだけです。記述例を公式ページに載せている社と、載せていない社があります。

Googleの公式ページ(日本語版)にはGoogle-Extendedの例があります。

user-agent: Google-Extended allow: /archive/1Q84 disallow: /archive/

Anthropicの公式ページにはブロックする書き方の例があります。

User-agent: ClaudeBot Disallow: /

この直前に "To block a Bot from your entire website, add this to the robots.txt file in your top-level directory. Please do this for every subdomain that you wish to opt out from."(サイト全体でブロックするには、最上位ディレクトリのrobots.txtにこれを追加する。除外したいサブドメインごとに行うこと。訳は当メディア)と書かれています。サブドメインごとに要るという点は、当メディアのようにサブドメインでメディアを運営している場合に効いてきます。

一方、OpenAIとPerplexityの公式ドキュメントには、トークン名と用途の説明はありますが、User-agent: を使った記述例そのものは見つけられませんでした(2026年9月22日に取得して本文を検索した結果)。「公式に書いてある例」として他サイトのコード片を写す前に、自分で公式ページを開いて確認してください。

2. 質問と答えの対応を本文の構造にする

見出しに質問を置き、その直下に結論を2〜3文で書く。 この形はAIが引用箇所を切り出しやすく、同時に読む人にとっても速くなります。上位8本のうち8本すべてがFAQ・Q&A形式に触れていたのは、この理由です。

3. 一次情報を持つ

AIが要約で済ませられる情報は、引用する理由がありません。 自社でしか出せない数字・実測・失敗の記録があると、そこが引用の対象になります。本稿でGA4の生データを出しているのも同じ理由です。

当メディアは、この考え方を週次運営ログとしてそのまま実行しています。うまくいかなかった週の数字も同じ形で出しています(たとえば公開以来のセッションの42%が運用拠点と同じ地域から出ていた回)。一次情報は成功事例である必要はありません。

4. 構造化データは入れる。ただし「AIのため」ではない

Googleの公式ガイドは、構造化データについて明確にこう書いています。

構造化データに過度に注力する: 生成 AI 検索に構造化データは必須ではありません。 また、特別な schema.org のマークアップを追加する必要もありません。ただし、Google 検索のリッチリザルトの対象となる助けとなるため、SEO 戦略全体の一部として引き続き使用することをおすすめします。

「AIに効くから入れる」ではなく「リッチリザルトのために入れる。AIには必須ではない」が公式の立場です。 入れること自体は推奨されているので、やらない理由はありません。ただし優先度の付け方が変わります。

5. 外部での言及を増やす

AIは自社サイトの外も読みます。第三者メディア・比較サイト・公的な掲載での言及は、自社サイトの改修では作れません。ここはSEOでいう被リンク施策と同じ作業になります。

6. 既存の検索評価を落とさない

前述のとおり、AIが回答を作るときの検索と取得の部分は既存の検索評価と重なります。LLMOのためにSEOを止める理由は、公式の記載を読む限り見当たりません。

llms.txtは置くべきか

施策リストによく入る項目なので、独立して扱います。

llms.txtは、サイトの内容をLLM向けに要約したテキストファイルをルートに置くという提案です。提案者はJeremy Howard氏、公開は2024年9月3日、2026年8月10日にv2へ更新されています。RFCのような標準ではなく、提案元サイト自身が "informal overview"(非公式な概説)、"The llms.txt specification is open for community input."(llms.txtの仕様はコミュニティからの意見を受け付けている。訳は当メディア)と書いています。

Googleは公式ドキュメントで明確に否定しています。

LLMS.txt ファイルやその他の「特別な」マークアップ: Google 検索(生成 AI 機能を含む)で表示されるようにするために、新たにコンピュータが解読可能なファイルや AI テキスト ファイル、マークアップ、マークダウンを作成する必要はありません。Google 検索自体がそれらを使用しないためです。

LLMS.txt ファイル(または同様のファイル)を作成して、これらのファイルを使用するほかのサービスやシステムのために維持することにしても、まったく問題ありません。Google 検索ではそれらは無視されるため、サイトの Google 検索での表示やランキングに影響することはありません。

他社についても確認しました。OpenAI・Anthropic・Perplexity・Microsoftの公式クローラ文書を2026年9月22日に取得して検索しましたが、「他サイトのllms.txtを読む」という表明はいずれにも見つかりませんでした。 OpenAIとPerplexityの文書にllms.txtの記述はありますが、いずれも自社のドキュメントの索引として公開しているという話で、他サイトのものを読むとは書かれていません。

当メディアは置いている。そして効いた証拠を持っていない

ここは自分に不利な数字なので、そのまま書きます。

当メディア(aidia.pengi-n.co.jp)はllms.txtを手で設計して置いています。 さらにrobots.txtでGPTBot・OAI-SearchBot・ClaudeBot・PerplexityBot・Google-Extendedを明示的に許可しています。記事とツールページは105本(2026年9月21日時点)あります。

一方、PENGIN本体(pengi-n.co.jp)のllms.txtはYoast SEOというWordPressプラグインが自動生成したもので、LLMO対策として意図して置いたものではありません。robots.txtにAIクローラ向けの記述は1行もありません。

同じ49日間のAI経由セッションはこうでした。

サイト llms.txt robots.txtのAIクローラ指定 公開ページ AI経由セッション
AIディア 手で設計して設置 5種を明示許可 105本 14
PENGIN本体 Yoast SEOの自動生成 記述なし 約800 169

同じ大きさの白いカードが左右に並び、下段の数字と横帯が、左は小さく短く、右は大きく長く出ている対比図

AIに読ませる設計を全部やった側のほうが、12分の1でした。

もちろん条件が違います。本体はドメインの運用歴が長く、外部からのリンクも多い。AIディアは公開から1か月半で、Ahrefsで測った参照ドメインは4件です(2026年9月14日時点)。差の主因はドメインの運用歴と外部評価の側にあると考えていますが、これも当メディアは検証していません。 少なくとも、llms.txtの有無でこの差を説明することはできません。

言えるのは、llms.txtを置いたことで流入が増えたという証拠を、当メディアは持っていないということです。置くこと自体のコストは低いので外す予定もありませんが、優先度としては最後です。上位8本のうち、本文でllms.txtを扱っていたのは6本(残る2本は関連記事リンクや自社サービスの紹介文に出るだけで、本文では扱っていません)。そのうち設置を勧めていたのは1本だけで、残る5本は「現状ではLLMs.txtの設置は不要」「今すぐ導入する必要性は低い」「効果があまり見込めません」「必要性は疑問」「『今後普及する可能性がある技術』として注目しつつ」と、いずれも慎重な書き方でした。 設置手順まで載せている記事でも、FAQで「すぐに導入する必要性は低い」と答えているものがあります。

メリットとデメリット

メリット

  • AI経由で来た人の行動率が高いことがある。 当メディアの実測では、相談フォームのクリックが起きたセッションの割合はAI経由3.55%・検索経由0.37%だった(ただし分子は6件)
  • 施策の大半が既存のSEOと重なる。 クロール可否・情報の質・構造化・外部評価は共通で、新規投資が要る範囲は限られる
  • 検索経由が減っている局面で、数少ない増えている経路である。 当メディアの実測では6月35セッション→9月21日間で87セッション

デメリット

  • 効果測定が1か所で完結しない。 GA4・Search Console・サーバーログの3つを合わせる必要があり、運用の手間が増える
  • 量が小さい。 当メディアの実測では全セッションの0.85%。ここを主戦場にできる規模ではない
  • AIの仕様変更で前提が変わる。 GA4のチャネル定義もSearch Consoleのレポートも2026年に入って追加されたもので、今後も変わる前提で運用する必要がある
  • 引用されるかどうかを直接コントロールできない。 検索順位と違い、順位表のようなものが存在しない

取り組むときの注意点

1. 施策を足す前に、現在地を数字で出す。 AI経由が何件来ていて、そこで何が起きているのかを出さないまま施策を始めると、効いたかどうかを判断できません。

2. AI Overviewsを測り損ねていないか確認する。 GA4の「AI アシスタント」だけを見ていると、AI Overviews経由は検索の中に埋もれたままです。

3. 短期で判定しない。 当メディアの実測では、AI経由のCVは月に数件の規模です。この規模では2〜3週間の変化は誤差と区別できません。

4. AIに合わせすぎて読みにくくしない。 結論を先に書く、質問と答えを対応させるといった整理は人にとっても読みやすくなりますが、同じ文型の反復や機械的な見出しの量産は逆効果です。

5. 公式が「不要」と書いていることに時間を使わない。 Googleは構造化データもllms.txtも生成AI検索には必須ではないと明記しています。やるなとは書かれていませんが、優先度は公式の記載に合わせたほうが安全です。

6. 当メディア自身がこの領域の支援を売っています。 その前提で、自社に不利な数字(AI経由14セッション・llms.txtの効果は未確認)も本稿に出しています。判断は自社の数字で行ってください。

よくある質問

Q. LLMO対策をすれば、SEOはやらなくてよくなりますか。

なりません。AIが回答を作るときの検索と取得の部分は、既存の検索評価と重なります。Googleも「SEO のベスト プラクティスは、引き続き Google 検索の AI 機能(AI による概要や AI モードなど)でも有効です」と公式に書いています。やめる理由は公式の記載からは見つかりません。

Q. 自社にAI経由の流入があるかを、いちばん早く確認する方法は何ですか。

GA4のレポート>集客>トラフィック獲得を開き、ディメンションを「セッションのデフォルトチャネルグループ」にして「AI アシスタント」の行を見てください。5分で分かります。 ただしこの数字にGoogleのAI Overviews経由は含まれていないので、あわせてSearch Consoleの生成AIパフォーマンスレポートも見てください。

Q. 費用はどのくらいかかりますか。自社でやれますか。

施策そのものは内製できます。 一次情報を用意する、質問と答えの形に整える、構造化データを入れる、の3つは社内に書ける人がいれば追加費用なしで始められます。外注が効くのは、一次情報を作る工程から必要な場合と、記事の制作量そのものが足りない場合です。外注する場合の費用相場と会社の選び方はLLMO対策会社の選び方と費用にまとめています(10社の公式サービスページを実取得し、金額7/10社・最低契約期間1/10社を集計)。当メディア自身の価格はAIO対策の完全ガイドにあります。本稿では扱いません。

Q. 効果が出るまでどのくらいかかりますか。

当メディアは答えを持っていません。 施策の前後を比較できる規模のデータが無いためです。出せるのは、AI経由が6月35セッションから9月の21日間で87セッションへ推移したという観測だけで、これは施策の結果ではなくAI検索そのものの利用増を含んだ数字です。期間を断定している記事を読むときは、その根拠が自社の実測かどうかを確認してください。

この記事の数字の出どころ

数字 取得元 期間と方法
チャネル別のセッション・CV 本体GA4 2026-09-22に取得。期間は2026-08-04〜09-21の49日
月別の推移 本体GA4 同上。2026年9月は1〜21日の21日分で、他の月は暦月
AIディアのAI経由 AIディアGA4 2026-09-22に取得。期間は同じ49日
llms.txt・robots.txt 各ドメイン 2026-09-22に両ドメインのファイルを直接取得して確認した
本体の公開ページ「約800」 概数 正確な総数は数えていない。概数であることを本文と図に明記している
上位8本の集計 実取得 2026-09-22に上位8本の本文を取得。本文中央値はページ全体で13,980字、ナビ・関連記事・CTAを除くと10,684字
公式ドキュメントの引用 各社公式 2026-09-22に各社の公式ドメインで取得し、引用した文字列が本文に実在することを機械照合した

確認できなかったこと

出せない数字は出しません。今回確認できなかったのは次のとおりです。

確認できなかったもの 扱い 理由
AI アシスタントの参照元一覧 未確認 公式ヘルプに完全な列挙がなく、例示5件のみ。Google広告とアナリティクスのソースカテゴリ一覧にも該当する分類が見つからなかった
llms.txtを読むAIベンダー 未確認 OpenAI・Anthropic・Perplexity・Microsoftの公式クローラ文書に表明が見つからなかった。Googleのみ「無視する」と明記している
AI Overviews経由の流入数 分離不可 Search Consoleは表示回数を出すが、GA4側では検索と分けて数えることができない
llms.txt設置の効果 未計測 設置の前後を比較できる規模のデータが当メディアに無い
ClaudeBotのUA文字列 未確認 公式記事にはrobots.txtのトークン名のみ記載があり、完全なUser-Agent文字列は取得できなかった
OpenAI・Perplexityのrobots.txt記述例 未確認 両社のページを取得して本文を検索したが User-agent: を使った記述例が見つからなかった。掲載されている可能性は残る(GoogleとAnthropicには記述例がある)
接触系CVを合算した率 算出不可 GA4のイベント別セッション数からは、複数イベントが起きたセッションの重複を除けない

訂正履歴

  • 2026-09-24: 外注の費用相場と会社の選び方の参照先を、新記事「LLMO対策会社の選び方と費用」(10社の公式サービスページを実取得して集計)へ変更した。本文の主張・数値・GA4の実測値に変更はない
  • 2026-09-22: 初版公開
LLMO伴走支援

自社のAI経由流入がいま何件あるかを、先に出します

GA4とSearch Consoleから、AI経由の流入・着地ページ・そこで起きた行動を切り分けて出すところまでを一緒にやります。施策の設計はその数字を見てからです。

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