| 料金 |
|
|---|---|
| 公式サイト | https://aidia.pengi-n.co.jp/tools/ |
| メリット | ライセンス代だけでなく、導入前の権限棚卸し、研修、月次運用まで同じ式に入れるため、従業員規模ごとの予算を稟議へ転記できる 公式価格と記事内の仮定を分離し、仮定を自社値へ置き換えればTCO・損益分岐時間・投資回収月数を再計算できる 作業時間だけでなく、一次完了率、手戻り率、管理者の支援時間、重大インシデントを同時に測るため、速いが品質が落ちた導入を成功扱いしない |
| デメリット | Enterpriseプラン、SCIM、監査ログ、データ所在地などを要件に含める場合は各社とも個別条件が増え、公開価格だけではTCOを確定できない Google Workspaceは基盤プランにGeminiが含まれ、CopilotはMicrosoft 365へのアドオン、ChatGPTは単独契約なので、ライセンス代の大小だけでは比較できない 効果試算は仮定モデルであり、実際の削減時間は業務、データ品質、利用率、レビュー負荷をPoCで測るまで確定しない |
結論: 企業の生成AI費用は「月額×人数」ではなく、ライセンス・データ整備・運用の3層で計算する
生成AIを会社へ入れるとき、料金ページの「1人あたり月額」は費用の一部です。実際には、DriveやSharePointの権限を直す時間、利用ルールを決める時間、社員が研修を受ける時間、導入後の問い合わせと改善にも社内コストが発生します。本記事は、これらを含めた3年TCO(総保有コスト)を従業員10・50・100・300人で試算し、何時間の削減が出れば投資を回収できるかまで同じ式で計算します。
金額には2種類あります。公式価格は各社ページで確認した表示値、モデル値は計算のために置いた仮定です。両者を混ぜず、自社の人数・人件費・作業時間へ置き換えられる形で示します。
この記事のレーン分け: 3社の管理機能・保持・データ所在地はChatGPT・Gemini・Copilotの企業比較、ツール活用型と開発型を含む費用の全体像は中小企業のAI導入費用で扱っています。本記事は従業員規模別のTCOと効果検証に絞ります。
先に契約の形を分ける: 3社の「月額」には違うものが入っている
各社の日本語公式ページにある標準価格です。3社とも2026年9月21日に再取得しました。8月19日に機械取得できなかったChatGPT Businessの円建て金額(¥3,050)は、今回は公式料金ページのビジネス向けタブで取得し、記載どおりであることを確認しています(月額課金は¥3,850、プレミアムシートは¥15,250/¥19,250)。期間限定割引は、2年目以降の予算を小さく見せるため基準に使いません(Copilot Businessには初年度のみの割引表示が出ますが、下表は標準価格です)。
| 導入経路 | 1人あたり月額 | 費用に含まれる範囲 | TCO計算での扱い |
|---|---|---|---|
| ChatGPT Businessを追加 | ¥3,050(年額課金・ユーザー2名から) | AI専用ワークスペース | 全額をAI追加費用にする |
| Google Workspace Business Standardを新規契約 | ¥1,600(年間プラン) | メール・Drive・Meet・Gemini | 基盤を含む新規費用にする |
| 対象のGoogle Workspaceを契約済み | AI部分の追加¥0になり得る | 契約中プラン内のGemini | 既存契約を埋没費用とする場合、AI追加ライセンスは¥0。ただし利用範囲を確認 |
| Microsoft 365 Business Standard+Copilot Business | ¥3,523(年払い・税別) | Microsoft 365基盤とCopilot | 基盤を含む新規費用にする |
| 対象のMicrosoft 365を契約済み | +¥3,148(年払い・税別) | Copilot Businessアドオン | 追加費用だけを計上する |
ここで重要なのは、Googleが安い、Microsoftが高いという表ではないことです。Google Workspace Standardの¥1,600にはメールやストレージが含まれ、Copilotの¥3,148は既存Microsoft 365へ足す金額です。ChatGPTは基盤から独立しています。自社の現契約を起点に「追加支出」と「基盤を含む総支出」を分けてください。
TCOの計算式: 公開価格と社内工数を分けて足す
本記事の3年TCOは次の式です。
3年TCO
= 月額ライセンス × 対象席数 × 36か月
+ (初期設計時間 + 資産・権限棚卸し時間 + 研修時間) × 社内時間単価
+ 月次運用時間 × 社内時間単価 × 36か月
計算例を再現できるよう、仮定をすべて公開します。この値は相場ではなく、自社値へ差し替えるための初期値です。
| 仮定項目 | 本記事の入力値 | 自社で確認する資料 |
|---|---|---|
| 社内時間単価 | ¥4,000/時間 | 給与だけでなく法定福利・設備費等を含む社内原価 |
| 初期設計 | 40時間/社 | 導入責任者・情シス・法務・現場責任者の会議と設定 |
| 資産・権限棚卸し | 0.5時間/従業員 | Drive、SharePoint、Notion、紙、社内アプリの所有者確認 |
| 初回研修 | 2時間/利用者 | 研修時間+その時間の人件費 |
| 月次運用 | 4時間+0.1時間/利用者 | 問い合わせ、退職・異動、テンプレート更新、利用確認 |
このモデルでは、全社員を利用者として計算します。実務では対象部門だけに配るケースが多いため、「従業員数」ではなく「対象席数」へ置き換えると予算が現実に近づきます。
従業員規模別の3年共通コスト: AIがプラン内でも運用費はゼロにならない
まず、エンジンに関係なく発生する初期・運用コストです。
| 従業員・対象席数 | 初期設計・棚卸し・研修 | 3年間の月次運用 | 3年共通コスト |
|---|---|---|---|
| 10人 | ¥260,000 | ¥720,000 | ¥980,000 |
| 50人 | ¥660,000 | ¥1,296,000 | ¥1,956,000 |
| 100人 | ¥1,160,000 | ¥2,016,000 | ¥3,176,000 |
| 300人 | ¥3,160,000 | ¥4,896,000 | ¥8,056,000 |
Google Workspaceの対象プランを契約済みで、Geminiの追加ライセンスが¥0でも、権限整理・研修・運用は消えません。逆に、既存の権限設計と研修資産が整っていれば、この共通コストは下がります。料金表ではなくデジタルアセットの状態が導入費用を左右する理由です。
既存基盤へ追加する場合の3年TCO
次の表は、既存の業務基盤を維持したままAIを追加する条件です。
- ChatGPT: Businessを全席へ追加(¥3,050/人・月)
- Gemini: 対象Google Workspaceを契約済みで、プラン内機能を使う(AI追加ライセンス¥0の条件例)
- Copilot: 対象Microsoft 365を契約済みで、Copilot Businessを追加(¥3,148/人・月・税別)
- 3社とも、前節の共通コストを加算
| 規模 | ChatGPT Business | Gemini(対象Workspace契約済み) | Copilot Business追加 |
|---|---|---|---|
| 10人 | ¥2,078,000 | ¥980,000 | ¥2,113,280 |
| 50人 | ¥7,446,000 | ¥1,956,000 | ¥7,622,400 |
| 100人 | ¥14,156,000 | ¥3,176,000 | ¥14,508,800 |
| 300人 | ¥40,996,000 | ¥8,056,000 | ¥42,054,400 |
Gemini列は「Google Workspace Standard等の対象契約をすでに払い、その費用をAI導入の追加支出へ含めない」という条件例です。Workspace自体を新規契約する場合は、たとえばStandardの¥1,600×人数×36か月を加えます。Starterはアプリごとの利用範囲に制限があるため、必要機能が使えるかを管理画面と公式比較表で確認します。
全席導入より先に「誰へ何のために配るか」を決める
利用席数を従業員数と同じにすると、使わない席の固定費が積み上がります。対象席は次の順で決めます。
- 月4回以上繰り返す知的作業を列挙する
- 作業の入力と出力がデジタル化されているか確認する
- 人の確認基準を文章にできる作業だけを候補にする
- 同じ作業を担う5〜20人へ限定して配る
- 6週間測り、効果が出た役割へ席を追加する
社員数が300人でも、最初の対象が経理10人なら10席で十分です。一方、50人会社でも全員が提案・調査・顧客対応を行うなら対象は広がります。必要席数を決める変数は会社規模だけでなく、反復業務を持つ人数です。
効果の計算式: 「AIに触った時間」ではなく、確認と手戻りを引いた純削減時間を測る
生成AIの効果を「回答が10秒で出た」で測ると過大評価します。人が確認し、修正し、誤りによる手戻りを直す時間まで含めます。
1回あたり純削減時間
= 導入前の完了時間
- (AI操作時間 + 人の確認時間 + 修正時間 + 後工程の手戻り時間)
月間便益
= 1回あたり純削減時間 × 月間実行回数 × 社内時間単価
たとえば、従来60分の提案書ドラフトがAI操作15分+確認20分+修正10分で終わっても、後工程で30分の手戻りが増えれば、純削減はマイナス15分です。短縮時間だけでなく、一次完了率と後工程の差し戻しを一緒に記録します。
50人企業・20席の効果試算: 1人月4時間削減できた場合
次は実績ではなく、効果検証の計算例です。
| 入力 | 仮定 |
|---|---|
| 従業員数 | 50人 |
| パイロット席数 | 20席 |
| 純削減時間 | 1人あたり月4時間 |
| 社内時間単価 | ¥4,000/時間 |
| 月間便益 | 20席×4時間×¥4,000=¥320,000 |
| 初期費用 | ¥420,000(設計40h+全社資産棚卸し25h+研修40h) |
| 月次管理費 | ¥24,000(6h×¥4,000) |
| 導入経路 | 月額ライセンス | 月間便益-ライセンス-管理費 | 初期費用の回収月数 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT Business 20席 | ¥61,000 | ¥235,000 | 1.8か月 |
| Google Workspace Standard 20席を新規契約 | ¥32,000 | ¥264,000 | 1.6か月 |
| Copilot Business 20席を既存M365へ追加 | ¥62,960 | ¥233,040 | 1.8か月 |
この表の結論は「どれを選ぶか」ではありません。1人月4時間という効果仮定が崩れると、回収月数も崩れることが結論です。実際には、Google WorkspaceやMicrosoft 365の現契約、税、Enterprise条件、外部支援費、データ整備費を追加します。
ライセンスだけを回収する最低削減時間
社内時間単価を¥4,000/時間とした場合、月額ライセンスだけを回収するには次の純削減時間が必要です。
| 1席の月額 | 1人あたり必要な純削減時間 |
|---|---|
| ChatGPT Business ¥3,050 | 約46分/月 |
| Google Workspace Standard ¥1,600 | 約24分/月(基盤費を全額AIへ配賦する場合) |
| Copilot Business追加 ¥3,148 | 約47分/月 |
ここには初期設計・研修・管理者工数を含みません。正式な投資判断では、それらを席数で配賦して必要時間へ加えます。
PENGINの社内資産から使ったのは「数値」ではなく測定設計
PENGINでは、社内AI利用を次の3層で記録する設計を運用しています。
- usage: 利用イベントの明細
- summary: 日付・役割・作業カテゴリごとの集計
- issues: 詰まり、誤検知、支援依頼などの問題記録
この記事では、この構造から公開可能な測定項目だけを一般化しました。社員名、クライアント名、案件名、会話本文、社外秘の業務内容は使っていません。また、社内原稿に記載があっても元ログを再確認できない削減率は、本記事の実績値として掲載していません。
「利用回数」だけでは、管理者が支援に追われた時間を見落とします。少なくとも次を役割別に記録します。
| 測定項目 | 記録する値 | 判断できること |
|---|---|---|
| 作業カテゴリ | 提案、議事録、調査、実装、問い合わせ等 | どの業務へ効いているか |
| Before時間 | AIなしで完了する中央値 | 比較の基準線 |
| AI利用時間 | 入力・待機・再入力 | ツール操作の負荷 |
| 確認・修正時間 | 人が検証して直す時間 | 見かけの時短を除く |
| 一次完了率 | 差し戻しなしで通った割合 | 品質が下がっていないか |
| blocker | 詰まりの種類と回数 | 研修・テンプレートの不足 |
| 管理者支援時間 | 設定、質問、例外対応 | 組織側の隠れコスト |
| インシデント | 誤送信、権限逸脱、機密入力等 | 拡大してよいか |
6週間のPoC: 2週間測ってから4週間使う
導入前の基準線がなければ、効果は測れません。次の6週間を1セットにします。
| 期間 | やること | 成果物 |
|---|---|---|
| 1〜2週目 | AIなしの作業時間、一次完了率、手戻りを計測 | Before基準表 |
| 3週目 | 対象席へ導入、ルール・テンプレートを配布 | 利用環境・説明記録 |
| 4〜5週目 | 同じ作業をAIありで計測。確認・修正も記録 | 利用ログ・問題一覧 |
| 6週目 | Before/After比較、継続・再設計・停止を判定 | 効果検証レポート |
本記事で使う判定基準例です。全社共通の基準ではなく、PoC開始前に自社で合意するためのたたき台です。
- 純作業時間の中央値が20%以上減る
- 一次完了率がBeforeから5ポイントを超えて悪化しない
- 管理者支援時間が総削減時間の20%未満
- 重大な情報セキュリティ事故が0件
- 週1回以上使った対象者が70%以上
時間だけ合格して品質が落ちた場合は再設計、重大事故があれば停止、利用率が低ければ席追加ではなく対象業務とオンボーディングを見直します。
デジタルアセットとセキュリティがTCOを変える
GeminiとCopilotは、既存基盤の権限を尊重してユーザーがアクセスできる情報を参照します。これは設定が整っていれば利点ですが、全社員共有リンクや退職者所有ファイルが残っていれば、その状態も引き継ぎます。AI導入前に次を確認します。
- 誰が原本の所有者か
- 全社共有・部署共有・個人限定のどれか
- 個人情報、契約、会計、未公開情報を含むか
- 保存期間と削除責任者が決まっているか
- 紙やローカルPCにしかない情報をどう扱うか
- AIが参照してよい範囲を、既存権限だけで表現できるか
OpenAIはBusinessデータを既定で学習に使わないこと、GoogleはWorkspaceデータを許可なくドメイン外のモデル学習に使わないこと、MicrosoftはCopilotがサインイン中ユーザーの権限内のデータだけへアクセスすることを公式に説明しています。ただし、学習に使われないことと、社内で見えてよいことは別問題です。権限の過剰共有は、自社側で直す必要があります。
稟議へ載せる最終表
導入提案書では、製品名より先に次の1枚を作ります。
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 対象業務 | 何を、月何回処理するか |
| 対象者 | 部署・役割・席数 |
| Before | 時間、一次完了率、手戻り率 |
| 予定構成 | エンジン、基盤、参照データ、管理者 |
| 3年TCO | ライセンス、初期、運用、外部支援 |
| 効果仮説 | 純削減時間、品質、処理量 |
| PoC期間 | 6週間の開始日・終了日 |
| 合格条件 | 時間、品質、支援負荷、事故 |
| 不合格時 | 再設計、対象変更、停止の条件 |
導入費用は料金表を写して終わりではありません。自社のデジタルアセットと業務を棚卸しし、効果が出る席だけへ小さく入れ、確認と手戻りを含む数字で拡大を決めるところまでが企業導入です。
参考(一次ソース): ChatGPT 料金 / OpenAI Business Pricing / OpenAI ビジネスデータ / Google Workspace 料金 / Google Workspace 生成AIプライバシーハブ / Microsoft 365 Copilot 価格 / Microsoft 365 Copilot アーキテクチャ
検証履歴
- 2026-09-21: 試算の前提に置いている3社の公式価格を取り直しました。金額はすべて据え置きです(ChatGPT Business ¥3,050、Google Workspace Business Standard ¥1,600、Copilot Business ¥3,148、Business Standard+Copilot ¥3,523)。したがって規模別の3年TCO、損益分岐時間、回収月数の試算値も変わりません。更新が3件。(1) 前版で「8月19日は金額部分を機械取得できなかった」としていたChatGPT Businessの円建て金額を、公式料金ページのビジネス向けタブから取得して確認しました。あわせて月額課金¥3,850とプレミアムシート¥15,250/¥19,250も取得しています。(2) 契約単位の表記を公式に合わせ「2名以上」から「ユーザー2名から」へ直しました(公式は「従業員数2〜200名のチーム向け」とも記載)。(3) Copilot Businessに初年度限定の割引表示(¥2,698・2026年7月1日から12月31日まで)が出ていますが、2年目以降の予算を小さく見せるため本記事は標準価格のみを使っています。Google Workspaceの「価格はユーザー 1 人あたりの月額料金です(税別)」とMicrosoftの「価格には消費税は含まれていません。」も当日確認済みです。取り直しの対象外としたのは、社内時間単価¥4,000/時間、初期設計40時間、棚卸し0.5時間/人、研修2時間/人、月次運用4時間+0.1時間/人、純削減月4時間、月4回以上の反復業務、週1回以上の利用率70%で、いずれも本記事が公開している仮定と判定基準です
よくある質問